起業家インタビュー04 有限会社アンビアンス 藤田観児 氏 2009.2.1
お客さまとのつながりを大切に「くつろぎ通信」を発行
ご縁のあったお客さまとの関係を続けるため、通信を発行する藤田観児氏。
記事に込めたメッセージや、制作の手順・コスト、アドバイスも語っていただいた。
主な事業
新築、リフォーム・増改築、ビル・マンションメンテナンスなど
住所
京都市中京区西洞院通錦小路下ル蟷螂山町466 ファヴィエ四条西洞院202
電話番号
03-6310-0355
サイトURL
http://www.ambiance.co.jp/
通信を始めたきっかけ
「くつろぎ通信」を始めたのは、5年ほど前に、ショールームを運営し始めたのがきっかけです。
そのころは、お客さまに対して、これといったフォローができていなかったので、
自分たちのことを思い出してもらえるような手段として制作したというわけです。
住宅のリフォームというのは、300~500万円程度の費用がかかることもあり、
一度ご依頼いただいた方に、また1年後にお仕事をいただくというわけにはいきません。
どうしても、お客さまとの関わりに時間的な間が空いてしまうので、
この「くつろぎ通信」が、その時間を埋める大切なツールとなっています。
お客さまに「お元気されていますか?」とお伝えすることによって、
こちらのことを忘れないでいただけますし、
細かいメンテナンスのご依頼をいただくことも多いんですよ。
ちなみに現在、30号を発行しました。07年の夏からは、ほぼ毎月発行を続けています。
記事には「人間を出す」ようにする
創刊当時は、浄水器のモニターを募集していたこともあり、
そのアンケート結果を掲載したのが最初の記事でした。
その後、記事の内容やレイアウトは、試行錯誤しながら
現在のものにつくり上げていきました。
現在、制作する上で重視しているのは「人間を出す」ということでしょうか。
少ない人数で営業していることもあり、
人間を知ってもらうことが大事なんじゃないかと考えています。
身近に感じてもらえれば、声をかけてもらいやすくなります。
通信を見てくださった方から「また、○○さんにお願いしようか」と言っていただけるように、
「私たちはこういう人間なんですよ」ということがわかるような内容を心がけています。
お客さまから「いつもお手紙ありがとう」と言われることがあり、
自分たちのつくったものが伝わっていると思うと、はげみになりますね。
読者の中には、ちょうど私たちの親の世代にあたるような、
お年を召した方もいらっしゃるので、「子どもが頑張っているな」というような目で
読んでもらっているのかな、と思います。
「くつろぎ通信」ができるまで
作成の手順としては、社員の各自にテーマを決めてもらい、それぞれが原稿を書き上げます。
書いてもらった原稿を、懇意にしているライターさんに添削してもらい、
各自に戻して確認してもらいます。
原稿が集まった時点で、私が全員の文章を見て、
トップの「今月のつぶやき…」と編集後記などを書き上げます。
なお、ソフトは「イラストレーター」を使用しています。
お客さまから「お手紙」と言っていただけるのは、
手書きの文字を活かしていることが大きいと思います。
また、手書き調のフォントも活用しています。
ただし、あまり手書きを使いすぎないように、ゴシック系のフォントを組みあわせるなど、
メリハリのある誌面を心がけています。
作業時間は、文章をライターさんに添削していただくようになってから
飛躍的に短縮しました。
それ以前は、「この表現でいいのかな」「ちゃんと伝わっているのかな」と
心配しながら書いているような状態でしたが、ライターさんのチェックがあるおかげで、
その心配もなくなりました。
当初は50~70時間くらいかけていたときもありますが、
現在は、5~10時間程度で制作しています。
友人のデザイナーさんにアドバイスをいただき、
現在のレイアウトが定着したことも大きかったと思いますね。
作成と発送のコスト
「くつろぎ通信」の基本的な仕様は、A3の両面プラスA4の両面(カレンダーとFAX用紙)、
同じくA4両面(セールスレター)のワンセット。
A3の紙を2つに折って、A4の紙を挟み込む作業は自分たちで行っています。
印刷コストは1万3000円~1万4000円といったところです。
発行当初は社内でコピーしていたのですが、WEBで安く印刷してもらえる会社を探して、
途中から印刷所に発注するようになりました。
手間暇を考えると、印刷所にお願いした方がラクです。
印刷したもののうち、650部はお客さまあてに発送しています。
地元の運送屋さんでメール便として発送していますが、A4のPP封筒に入れて、
京都府内で1通あたり約60円、府外の場合、約70円程度。
定形外の郵送や宅配業者のメール便よりは安あがりです。
あとは分譲マンションの管理人さんにお渡しするケースが結構あります。
私たちの会社は、もともと分譲マンションの管理会社との付き合いが多く、
マンションの管理人さんをフォローしておくと、何かあったときに
お問い合せをいただいたりすることがあるからです。
ちなみに、現在の発行部数は約800部ですが、
今後は1000部くらいまで伸ばしてキープしていくのが理想かなと考えています。
毎年12月には、クリスマスカードをつくって一言ずつメッセージを書き込み、
12月の通信と併せて送っているのですが、10年以上前のお客さまの場合、
「あれ、どんなお客さんだったっけ?」となることがあって…。
事業規模を考えても、ある程度のところでリストを整理する必要があると思います。
「継続すること」が大切 通信を始めてみたいという方にアドバイスをすることがあるとしたら、
とにかく継続することだと思います。
はがき1枚でも「思い出していただく」ことが大切です。
私自身、仕事が忙しくてさぼっていた時期もありますが、
一度止まってしまうと、なかなか再開するのが難しくなるという事情もあります。
もちろん、始めてもすぐに反応があるわけではないですが、
続けていくことで、例えば私の娘の成長に共感していただくようになったり、
自分自身の張り合いも出てきます。
そして、お客さまからの反応をもとに、内容を検証していくことも大切です。
通信を見て電話をしたというお客さまには、できるだけ
「どの記事を見たのか?」をお聞きして、常に良い内容へと進化させていく必要があります。
私たちの業界も、厳しいことには変わりなく、立ちゆかなくなってしまう会社もあるのが実情です。
そんななかで、セールスレター1通でも続けていくことによって、お客さまに安心感を与える効果もあります。
続けていくことで「あなたのところなら大丈夫」と思ってもらえるのではないでしょうか。
(2009年2月1日発売 野村佳代著 会社づくりの現実とお役立ちポイント 掲載)
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